ここでは、以前、一般社団法人心結(しんゆう)代表理事 屋宜明彦が、日刊ゲンダイで連載していた「 生前・遺品整理の作法を紹介します」の紹介と、その記事を元に、大切な家じまいの作法についてお伝えしたいと思います。
日刊ゲンダイの記事はこちらです。(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/264706)
「思い入れがあるからこそ…伴侶の死に際に生前整理を考える」を踏まえてお伝えしたいと思います。
生前整理という言葉や終活という言葉はようやく沢山の方に浸透して来たと思います。
生前整理のセミナーなどでも沢山の方が聞きに来ていただけますが、実際は、「まだ自分には先の話だ!」と感じている人も多いのではなでしょうか?
確かに身体も元気で気力もあれば、まだまだ自分には関係ない!もっと病気などをして身体が動かなくなってから考えればいいかなと思うことでしょう。
しかし、実際には、身体が動かなくなったり、病気をしてからでは思うように片付けはできないのです。
保険商品などは「もしもの時の備え」と言われています。
生前整理も同じように、もしも時のリスクを想定した上で考えて行った方がいいと私は思います。
今回は、そんな遺品整理や生前整理の現場で遭遇したケースをお伝えしたいと思います。
遺品整理での現場で遭遇したゴミ屋敷
80代、一人暮らしの男性の遺品整理だったのですが、床はゴミで埋まり、弁当の空容器が散乱し、キッチンは生ゴミの悪臭が漂っていました。
そのゴミを片付けていると、女性ものの着物やたくさんのアルバム。ゴミだらけに見えましたが、棚には整然と並んだレコードや未開封の洋酒の瓶が並んでいます。
家族もいて、趣味のレコードに洋酒をかたむけ、ゆったりとした毎日を過ごしている。元気な時の生活が思い起こされます。おそらく、家族とわかれてしまい、1人で暮らしているうちに足腰が弱って来てからゴミをため込むようになったのではないか?と推測されます。
そして、誰にも知られずに、助けを求めることもできずに孤独死をしてしまったのではないか?そんな光景が浮かびます。
ゴミを溜め込み捨てられない70代の女性のケース
譲マンションに住む70代女性は、ゴミをため込んでしまい、部屋から悪臭や害虫が発生するため、近所から苦情が寄せられていました。ご本人から 片付けの依頼があったのですが、二度ほどキャンセルが続きました。これは、ゴミを溜め込んでしまう方に多いのですが、いざ片付けよう!と思うものの、業者に頼んで色々捨てられる!と考えてしまうと不安を感じなかなか捨てられない場合が多いです。
この方は、マンションの管理人やケアマネの手を借りながら、なんとか片付けにこぎ着けたのですが、周囲の助けがなければ難しかったと思います。
一戸建から妻の死をきっかけにマンション住まいに引っ越したケース
この方は、一戸建てに一人暮らしをしていた80代の男性なのですが、妻が亡くなり、最初の一年間は一人暮らしをしていました。しかし、奇麗好きだったこともあり、6LDKもある家の掃除が大きな負担になり、家の売却を決断し近所のマンションに引越しをしました。
幸いすぐに買い手も見つかりました。
この男性は、引越し前から近所付き合いも継続しており、趣味の麻雀なども楽しみ妻亡き後、持ちものを減らすことで身軽になり自由で充実した生活を送ることができています。
元気で気力があるうちに片付けを考えることが大切です!
元気なうちは自分は大丈夫!と思うことでしょう。
先祖代々続く家を残したいから思い入れのある広い家でも一人で暮らしたいと思う方も多いです。また、子供達や孫の帰省先がなくなることに対して罪悪感を感じてなかなか動けないという方もいるかもしれません。
あらゆる思いはあるのですが、それでも自分は大丈夫!と思うのではなく、元気なうちに片付けのことを専門家に相談して欲しいと思います。
何かがあって身体が動かなくなってゴミ屋敷になってしまう可能性も十分にあり得ます。
元気なうちに家族としっかり話、ご自分の想いもしっかり伝えておくこと。
ただ片付けをするだけではなく、大切なモノや想いを大切な家族に元気なうちに伝えていくことで、わだかまりもなく、すっきりして新しい生活に向けていけるのではないでしょうか?
人生100年時代と言われている今、老後をより良い生活をお送るための準備も必要だと思います。